第1章 出逢い
こちらからの定期連絡が来ないし通信も不可能だから、さすがに異常事態の推察くらいはされているだろうが。
でも彼らは知っている。
例え他のメンバーに何があったとしても『私』だけはここに残っていることを。
だから、必ず回収に来る。
私はここで待つしか無い。
ガレキの中で目を閉じる。
睡眠に入るか入れないか、確率は半々。
『ミス・シノミヤ』
……ああ、駄目だ。クラウスさんのことばっか考えてしまう。
忘れろ。昼間の人外レベルの戦闘術を見ただろう。あれは世界が違う人だ。
到底、存在の格が釣り合わない。
もう会わない方がいい。
と、そこにスピーカーででっかい音声が響いた。
『夜分、お騒がせいたします~。地区再開発工事が開始となりました~。
周辺住民の皆様は自力で退避なさって下さい~。
大音量と振動も発生いたします。ご迷惑をおかけいたします~』
「はああぁ!?」
ガバッと起き上がる。
途端に(本物の)ブルドーザーの轟音と振動が盛大に鳴り響く。
異界技術も使い、他の被災物件の街並みがレゴブロックのごとく片付けられていく。
追加の音声も聞こえてきた。
『なお回収して欲しい遺体がある場合は、明朝八時までに道路から分かる場所に出して下さい~』
「粗大ゴミの回収か!」
私のツッコミをものともせず、ブルドーザーがうなりをあげ、隣の土地に突っ込んだ。
凄まじい音量と地響きが立つ。
当然、この場所にも凄まじい振動が――。
「あ」
勢いあまったのかどうなのか。
ブルドーザーが吹っ飛ばした隣の土地のガレキが、結界をあっさり破って私の方に――。
私は高速ガレキの直撃を受け、即死した。
完☆