第3章 告白(下)
「…………」
私が答えようとしたとき、下から突き上げるような音がし――床が崩れた。
どうも警察の攻撃で、建物の支柱自体がダメになってたらしい。
「いやあああっ!!」
もう急転直下すぎるっ!!
あ。真下に女の子を人質に取った強盗団が見える!
私はともかく、どう見てもサラリーマンではないスティーブンさんを見、銃を構える!
同時に窓の外から、警察の軍用ヘリが、こちらに砲口を向けてる!
死んだ。どう考えても死んだ!!
ゲームオーバーやんけっ!!
そのとき。
「ブレングリード流血闘術――39式 血 楔 防 壁 陣 (ケイルバリケイド)!!」
私を守るように紅き十字の防御陣が展開された。
…………
…………
…………
うん。まあ、後の説明は不要であろう。
結局、私の発言に不安を感じたクラウスさん。
午後の予定を全てキャンセルして現場に到着した。
ライブラのトップ2がそろい、敵などいるだろうか。
人質? もちろん無傷で救出。強盗団? 鎮圧。
ついでに強盗ごとこちらを狙撃しようとした警察も鎮圧。
私たちはギルベルトさんの待つ車に飛び乗り、大急ぎで(元)大型家具店を後にしたのだった。
…………
トンネルのような場所に入り、周囲が暗くなる。
ギルベルトさんの運転する車が、ライブラの隠し駐車場に入っていた。
私はクラウスさんにもたれ、ぐったり。
クラウスさんは安心させるように、私の肩を抱き寄せてくれた。
「ここまで来れば大丈夫か。しかし僕の車がなあ……」
助手席で、沈痛な面持ちをするスティーブンさん。
彼の高級車は、強盗集団と警察の銃撃戦の間に蜂の巣にされ、鉄くずと化している。
「保険の申請はすでに済ませております。ご希望の車種がございましたら、速やかに購入手続きを――」
「ああ。すみません、ギルベルトさん」
スティーブンさんは笑顔を見せるが、やっぱり少し意気消沈したお顔。
そして車内にちょっと沈黙が走った。
私は口を開かなければいけない気がした。
「あの、クラウスさん」
「無事で良かった」
怒りもせず責めもせず、クラウスさんはそれだけ言った。
「あの、ホントに、色々ごめんなさ……」
最後まで言う前に、
「私が勝手にしたことだ。君が負担に思う必要はない」
「…………」