第3章 告白(下)
スティーブンさんと家具店にいったら、武装強盗集団と遭遇しました☆
…………
さっきまでにぎやかだった店。
たった数十分で、そこは泣き声と悲鳴、そして死体の転がる場所になってしまった。
「エスメラルダ式血凍道――『絶対零度の風』」
「き、貴様何を!――ぐわーっ!!」
スティーブンさんの足下から巻き起こる冷気。
凍てつく氷の風が、異界人の武装異強盗たちを包む。
一瞬後、そこには強盗の形をした氷の彫刻が立ち並んでいた。
「すごい……!」
私はデスクの陰に隠れていた。
白い息を吐きながら、スティーブンさんの血凍道に圧倒される。
そして強盗たちを倒したスティーブンさんは、休まずすぐ行動を開始する。
「お嬢さん、僕の後についてきて」
「はい!」
氷の彫像と化した強盗たちの間をすり抜け、私たちは死体だらけのフロアを駆ける。
途中、動かなくなった女性や子供を見て、スティーブンさんがわずかに顔をしかめる。が、すぐ冷徹な顔になり走って行く。
私は無感情に死体を飛び越え、後に続いた。
その後は、大きな妨害もなく二階まで下りられた。
このまま上手いこと外に出られるかなーと思ったとき。
「止まって。伏せて。耳を塞いで」
慌てて止まり、スティーブンさんの指示通り、窓の下に伏せる。
私が耳を塞ぎ、伏せた直後――頭上で爆音がする。
窓ガラスが次第に割れ、千の鋭利な破片となり上から降り注ぐ。
スティーブンさんが『絶対零度の盾』を使い、氷の盾で散らして下さったため、私たちと周辺は無事だったが。
うう。しかし耳を塞いでたのに、キーンとする。
家具店は、完全に紛争地帯の廃墟だった。
私は窓の外を見た。デカいヘリが何台も飛んでいる。
HLPD(ヘルサレムズ・ロットの警察)の軍用ヘリだ。
プロペラの猛烈な音だけで、耳が痛くなる。
てか警察が民間人のいる店に向けて、超強化機関銃の一斉掃射……。
私が呆然としている間に、スティーブンさんはご自分のスマホを取り出し、高速で情報収集した。
「なるほど……たまたま来店していた高官の娘が人質になっているのか。
ま、おかげで『建物ごと爆破して制圧完了』とならずにすんだか」
ツッコミが追いつかん。容赦ねえな、ヘルサレムズ・ロットの警察機関!