第3章 告白(下)
倉庫には、未開封の色んな品があった。
「これかね、カイナ?」
クラウスさんが別の暖房器具の梱包を解く。
中にはお高そうなハロゲンヒーターが入っていた。
でも私は首を横に振る。
「求めるものと違いますですね」
「そうか」
気を悪くした様子もなく、また丁寧に梱包し直すクラウスさん。
倉庫の中は人間客用のヒーターから、異界客用の魔導生物式温熱機まで、盛りだくさんであった。
しかし暖房以外の荷物も確認したけど『これ!』と思うものはなかった。
そもそも、自分が探し求めるものが何なのか分からん。
『えーと、アレだよアレ』というのが頭をぐるぐるし、気持ち悪いことこの上ない。
ああああ! 一回観れば『これだ!』と分かるのに!!
「何か持っていくかね?」
全部梱包しなおしたクラウスさんが言う。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」
「そうか」
クラウスさんがお身体を起こしたので、肩からずり落ちそうになりつつ(ついでにすかさず支えていただきつつ)、しがみついた。
クラウスさんは廊下を歩きながら、
「インターネットで調べてみよう。あちらの方が大量の情報が手に入る」
「いえいいですよ。もう十分です。それより、また勉強で分からないところがあったので、聞いて良いですか?」
「ああ、もちろんだとも」
ちょっと嬉しそうなクラウスさん。話題の切り替えは無事成功らしい。
…………
「うーん……」
『アレ』って何だっけかなあ。
「カイナ?」
「――はっ!!」
クラウスさんに声をかけられ、我に返る。
「つづりの分からない単語があれば、聞いてくれたまえ」
クラウスさんが横にいた。ノートパソコンで作業をされている。
あ。そうだ。
読解力は大分ついてきたので、今は文章作成の練習をしてる。今日のチャレンジは、手紙を書くことだ。
そういえば、以前に手紙を交換しよう~みたいな流れになりかけたことがある。
だけど、私のいる土地がライブラの真横に移動したこともあり、立ち消えの形になってた。
相変わらずクラウスさんからの通知地獄は健在だし。
で、クラウスさんがノートPCで作業されてる間、私が練習で手紙を書くってことになったんだけど。
"Dear Mr.Klaus"
……から先が進まんなあ。