第3章 告白(下)
暗転。
「――はっ!!」
目を開ける。
窓から夜明けの光が差し込んでいる!!
鳥がチュンチュンと鳴いてる!
ここはどこ? 寝室のベッド!
隣にはクラウスさん! これ重要!
清潔なシャツ姿で、私の頭に腕枕して! 普通に寝ていた!
「…………」
クラウスさんの寝顔をじっと眺める。
胸がドキドキする。
昨晩寝てからのこと、全く覚えてはいなかったけど、一線越えたんだろうか?
「いや何も起きてないですよ、これ」
自分の衣服を確かめる。乱れた形跡なし。
チラッと襟元をめくる。『そういう痕』とか何もなし。
念のため、身体を動かしてみる。違和感なし!
熟睡したため、頭がすっきりしている!!
つまり! ホントに! 何も無かった!!
「嘘……でしょ……っ」
両手で顔を押さえ、うなだれる。
すると、クラウスさんが身じろぎする。
「カイナ……?」
眼鏡をしてない瞳が新鮮である。こちらを見上げる目は、とても優しい。
手を伸ばし、私の頬に触れた。
これはワンチャンあるか……?
という下心はおくびにも出さず、
「クラウスさん、おはようございます」
と微笑む。
内心では『よし、来い!!』と乙女らしからぬ叫びをしていたのだが。
「おはよう、カイナ。よく寝ていたね」
クラウスさんは爽やかに笑い、私を軽くハグしたのみ。
うん。ソファで寝てた私を普通にベッドに連れてって、自分も普通に寝たコースでしたよね。
情けなさに内心死にたくなっている間に、クラウスさんはご自分の身支度を調え、
「では植物の様子を少し見に行ってくる。ギルベルトが来るまで、もう少し待っていてくれたまえ」
「あ、はい。ご苦労様です」
手を振ってお見送りし、
「~~~~っ!!」
私は、枕を盛大に壁にぶつけたのであった。
…………
だいたいこんな感じ。週に二、三回泊まりに来られる。
ちなみに、たまに私が遅くまで起きているパターンも存在するが。
「話し込んでいたら、こんな時間か。そろそろ寝よう」
「そうですね」
と二人でベッドに横になり、
「では明かりを消すよ」
「はい。おやすみなさーい」
暗転。
……健全すぎて、逆に怖い。
もしかして、私、本当に『そういう』対象として見られていないのか!?
それが最近の焦りであった。