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【血界戦線】紳士と紅茶を

第3章 告白(下)



 ちょっと金かけすぎでは?と恐る恐る訴えるとクラウスさんは、
「君はすでにライブラの一員であり、ふさわしい家を持つだけの財力がある」
 いやこの家の資金源は、私がライブラに上納した金だって! つまり会社の金を使って、私の家を建てたようなもんなんだけどなあ。

 それにこれだけの防衛設備、本当に数百万ゼーロの額でまかなえるんだろうか?
 かなり疑わしかったが、結局ギルベルトさんは具体的な数字を教えてくれなかった。

 …………

 ともあれ、新築のおひろめ式?だか説明会?だかも終わった。

「本当にお世話になりました、クラウスさん、ギルベルトさん」
 家の前で、深々とクラウスさんたちにお辞儀をする。

 何だかんだ文句も言ったけど、やはりちゃんとした家が持てたのはとても嬉しい。
 私にもホームと言える場所が出来たのだ。
 クラウスさんも満足そうに頷き、

「足りない家具は、後日に買いに行こう。だが今日はこれで終わりにして、住み心地を試してくれたまえ」
「はい! ありがとうございます!」
「では私も仕事が上がったら、こちらに来る」
「はい! お待ちしておりま――」

 ……え?

 …………

 こうして、すったもんだの末、私は新しい所属場所と仲間と新居を手に入れた。

 クラウスさんに依存しまくった生活からも、めでたく卒業。

 昼はライブラでばりばり仕事。休憩時間は温室で植物を愛で、夜は温かいベッドで眠る日々。

 めでたしめでたし☆

 ……。

 …………なワケがない。

 

 そもそも、仕事が無かった。
 
「あの、仕事がしたいんですが」

 ライブラのオフィスに来て、そーっと訴えてみた。
 だがデスクに構えるリーダーは、
「君はこちらの世界に来てから、ほぼ無休で働いていたようなものだ。休みたまえ」

「働いてないですって。現にここ何ヶ月かは、テントでゴロ寝生活だったでしょ?」

「君は精神的ケアが必要な状態にある。
 ライブラの統括責任者として、自宅療養が適当と考える。休みたまえ」

「大丈夫ですよ。雑用でいいんです。何か皆さんのお役に立ちたいんです!
 皿洗いとか、トイレ掃除とか、本の整理とか何でも……」

「 休 み た ま え 」

「…………」

 それ以上は、何も言えなかった。

 肩を落として、とぼとぼとオフィスを後にするしかなかった。

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