第3章 告白(下)
「カイナ様ぁ~。1万ゼーロで良いから貸してぇ~」
ザップさんは腰に抱きつき、すりすりとセクハラ。大人の男の矜持はないらしい。
その頭上にチェインさんが座り、ザップさんを『ぐはっ』と床に昏倒させる。
「でも大金をもたされても困るという、この子の話にも一理あると思います。
銀猿にタカられ尽くすか、盗まれる可能性も考えられますし」
するとガバッとチンピラが起き上がり、
「このクソアマ!! 俺を誰だと思ってやがる!! そんなことするかよ!
はっ! 今のは冗談だ。腐っても俺は女に頭は下げねえっ!!」
胸を張るチンピラ。なので私は、
「――靴がちょっと汚れちゃいましたね。お金を払うから誰か拭いてくれないかなあ」
ザップさん、目をキラリとさせ、
「すぐに用意させていただきます、お嬢様!」
「ああ、札束で人の横っ面をはたく快感……!」
自分の内に目覚めそうな何かにドキドキ。
「それと、この子が変な趣味に目覚めますよ? ミスタークラウス」
静かにチェインさんが言う。
「…………」
そしてクラウスさんは非常に、非常に苦悩するお顔をして、
「……分かった。ライブラで受け取ろう。だが最低限の金額だけは、もらってくれたまえ」
かくして、私はこの世界に来て初めて、カードを持つこととなった。
住所不定無職の私に、どうやってカードを作れたのか謎であるが。
あとザップさんからの借金要求が非常にウザかった。