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【血界戦線】紳士と紅茶を

第3章 告白(下)



 ちなみにパーティーに関して私が覚えている記憶は二つ。

 その1。
『可愛い可愛い可愛い!!』と眼帯のお姉様に抱きしめられていたこと。

 ……スティーブンさんによればそのとき私は、オッサンのような笑顔で”いかにもさりげない風を装い”お姉様の胸を触ったそうな。だが、瞬時に絶望的な顔で、

『違う! チェインさんは! もっと大きかった!!』

 と叫び、そのお姉様に多大な精神的ダメージを与えたそうな。

 いや覚えてないって!

 その2。
 壇上に上がったクラウスさんが、皆に向かって何やら演説していた。そして、
『精神的な不調から、眠っている状態が続いているが、どうしても彼女に参加してほしかった。
 紹介しよう。カイナ・シノミヤ。我々の新しい同志だ!』
 と、私を紹介し、割れるような拍手の音がしたこと。

 ……チェインさんによれば、そのとき私はクラウスさんのそばで椅子に座らされ眠っていた。
 だが、拍手を聞いて突然パチッと目を開けた。
 そして立ち上がったかと思うと、宴会芸のノリで、

『三番、カイナ!! 死にまーす!!』

 と、いつの間にか手にしていた銃で、自分の頭をぶち抜こうとしたそうな。
 むろん周囲に全力で止められた。

 犯人はザップさん。弾の入ってない銃を、面白半分で渡したらしい。
 彼はその後パーティーが終わるまで天井から釣り下げられてたとか。ざまぁ。

 いや、そんなデビューで、今後どんな顔をして他のライブラメンバーに会えばいいんだ!!
 ずーっと引きずられるぞ、これ!!

 クラウスさん~。
 恨みがましい目でクラウスさんを見るが、本人は、
「日程の変更が出来なかったことを心から詫びたい。
 後日パーティーを開くから、期待して待っていてくれたまえ」
 違う!! そんな甘ったれなこと訴えてないから!!


「それにしても一ヶ月生存は、自己最長記録です。ギネスに乗れそうな予感がしてきました」
「ジョークで言ってるのか、まだ寝てるのか判別しがたいけど、普通の人間は命が一つしかないからね」
 毒舌気味のツッコミを飛ばしてくるスティーブンさん。
 そして彼は真面目な顔になる。

「とにかく完全に目が覚めて何よりだよ。詳しい話も聞ける」
 
 それを聞き、私も背筋を正した。


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