第3章 告白(下)
「あ、でもですね。一つ気をつけてほしいのが――」
「再生する前に叩く!『不死』じゃねえなら、俺たちの敵じゃねえ!!」
ザップさんが勇んで走り出していく。
「いえ、そうじゃなくて。あの……まあ、いいか。別に」
「煮え切らないわね。どうしたの?」
フッと私のそばに現れるチェインさん。彼女は、攻撃陣には加わらないようだ。だから私は慌てた。
「あ! チェインさん、ダメです。私から離れて離れて!!」
「え? 何々? 急に慌てて、どうしたの?」
「と、とにかく離れてっ!!」
早くしないと。男性陣の声が聞こえる。
「斗流血法――!!」
「エスメラルダ式血凍道――!!」
「ブレングリード流血闘術――!!」
「タマちゃんと私、存在が紐付けされてるんですよ」
生体兵器としての活用法を考えていたかは知らんが。
「え……!? ちょっと待って!? それって――」
チェインさんが、私の言葉が意味するところに気づいたのか、真っ青になる。
「皆、攻撃を中止してっ!!」
叫ぶが遅い。皆さんの技はもう発動しちゃってる。
「だからタマちゃんが敵から食らったダメージは、そっくり私にも――」
瞬間。
タマちゃんと同じく。私の身体は原型を留めず吹っ飛んだのであった。
…………
…………
そしてまた、生き返った。
目をパチッと開ける。
そこにはクラウスさんの、般若のごとき怖い顔があった。
私の頭を膝に乗せ、私の手を、自分の両手でぎゅっと握ってはいたが。
「えーと……私、再生にどのくらいかかりました?」
「およそ×時間だ」
驚いたことに、他の人たちは帰らず、まだ残っていた。
回収した資料を読んだり、床に寝そべっていびきを書いてたり、壁にもたれて仮眠を取ったりしていたが。
「タマちゃんは?」
クラウスさんは一点を指さした。私は実験場を見る。
そこには、命を失ったタマちゃんの死骸があった。
「良かったー」
ホッと胸をなで下ろす。
「カイナ。なぜあれへのダメージが、君にも飛ぶと言ってくれなかった」
クラウスさんは、ただでさえ怖い顔が限界値に達しつつある。
今回は多少の怒りを私に向けていることもあり、ぶっちゃけ、気絶しそうだった。
「だってそんなこと話したら、クラウスさんがタマちゃんを攻撃出来ないでしょ?」