第4章 愛のTABOO
【 Sho 】
待ちに待った放課後。
俺は、簡単に鞄の中に荷物を詰めると、雅紀と潤にひと言言ってから教室を飛び出して真っ直ぐ職員室へと向かった。
「すいませーん、二宮先生居ますか?」
職員室に入った時に、近くにいた先生に声を掛けた。
『ああ、二宮先生なら科学室にいると思うぞ、あの人彼処にいるの好きらしいから』
「そうですか、ありがとうございます」
その先生に軽く頭を下げて、昨日来た科学室へと向かった。
薄暗い廊下を渡り、階段を上ったその突き当りの教室…。 俺は、ゆっくりと引き戸を開けた。
「失礼しま〜す…」
小さめの声で言った言葉に、返事は返って来なかった。 不思議に思って中に足を踏み入れると、科学室の窓際の席で机に突っ伏して寝ている先生を見つけた。
ゆっくりゆっくり、先生に1歩ずつ近付いて、彼の顔が良く見える位置にしゃがみ込んだ。
「眼鏡、取りますね…」
ひと言そう呟いて、そっと眼鏡を外す。
すると、浮かび上がる先生の綺麗な顔…。
窓から射し込む夕陽に当てられて、際立つ陶器の様な白い肌…。
うっすらと紅潮した頬…。
その先生の頬に触れると、手に吸い付いてくるように柔らかかった。
「なんでこんなにも貴方の事、気になるんですかね…」
返事が返ってこないと分かってて、先生に呟く。 …貴方に聞いて分かるくらいなら、俺にだって分かると思うんだけどな。
そんな自分に苦笑しながら、柔らかな頬を撫で続けていた。
すると、先生の下がり気味の眉毛が、ぴくりと反応して…。
和「…ん、んん」
そう唸りながら、顔を反対側に向けてしまった。
…先生は素っ気ないな。
そうは思っても、なんだかそれに喜びを感じている自分がいた。 …先生の顔が見える位置に回り込んで、じっくりと観察していると、何故か淡い桃色をした唇に目を奪われた。
「…先生、まだ起きないで下さいね…」
そして、自分でも歯止めが効かないくらい、その唇に吸い込まれるようにして、自分の唇を重ねていた…。