第4章 愛のTABOO
「科学室、行こうかな…」
僕はそう思って、職員室を抜け、落ち着ける科学室に向かった。 科学室に入ると、空気がひんやりとしてて気持ちが良い…。
やっぱり、1人でいた方が楽だ。
こうして机に突っ伏して目を閉じると、余計な事を考えなくて済む。…幸い、この後僕の授業もないし…ひと眠りしていこう。
目を閉じて睡魔に身を委ねると、自然と夢の中へと落ちていった。
…どれ位寝ていたんだろう。
意識が浮上してきて、目を開けようとした時…誰かが僕の頬を撫でている事に気が付いて目を開けることが出来なかった。
待って…僕、眼鏡をしたまま眠った筈だ。
なのに今、眼鏡の感覚がない。
不思議に思った僕は、撫でている手から逃れるようにして、顔を反対側に向けた。
するとやっぱり、僕の顔に眼鏡は掛かってない。
きっとこいつが取ったんだ…。
起きて文句を言ってやろうとした時に限って、そいつが僕の顔が見える位置までわざわざ回り込んできた。
…また起きられないじゃないか。
あ、いや もう一層の事起きてしまえばいいんじゃ。
そう思い立って、目を開けようとした時 相手の声が耳に届いた。
『まだ起きないで下さいね…』
この声、何処かで聞いたことがある気がする…。一体誰の声なんだ。
僕が声の主の事で頭を張り巡らせていると、その彼の気配が僕に、段々と近付いてきていた。
そして…。
「…っ、ん」
唇に触れる何か、柔らかいモノ…。
僕は恐る恐る薄目を開けた。
その視界に入ってきたのは、どアップの誰かの顔。
幸い、目は閉じられていて僕は驚いて、両目を一気に見開いてしまった。
な、何これ…。こ、れってまさか…僕、キスされてるの?
この美しい顔は、あの問題児…櫻井とかいう奴だ。
声も彼のものだと、やっと理解した。
でも、1番理解できないのはこの状況…。
唇と唇が直下で触れ合ってる。
あまりの衝撃で身動きが取れないでいると、更にぐっと唇が押し付けられた。
身体に緊張が走りすぎて、普通に呼吸も出来ない…。
暫く経った後、櫻井が顔を離そうと動いたから咄嗟に目を閉じて寝た振りをしてしまった…。
一体僕にどうしろと言うんでしょうか…っ。