第4章 愛のTABOO
校舎に暖かな夕陽が窓から差し込む時間。
俺たちのクラスも各自、部活見学の為に動き出していた。
雅「それじゃあ翔ちゃん、俺たち美術部行ってくるね」
「込み合ってそうだから気を付けろよ?」
潤「ああ、まだ申し込む訳じゃないし楽しんでくるよ」
そこで俺たちはふた手に別れた。
…さて、俺はどの部活に行こうかな。
最初は校内をただ宛もなくふらついていた。ふと見上げた窓の外に屋上が見えて、あの白衣を着た彼の事を思い出した。
あの人は先生か、それとも先輩か…。
白衣の中が制服かそうじゃなかったかなんて見てなくて、頼りになるのはあの白衣だけ。
随分幼そうに見えたけど…この学校にいるって事は確かだもんな。
「白衣、か…保健室の先生とかか?」
そう思って俺は来た道を引き返して、北校舎に向かった。
北校舎の中に入ると、他の校舎とは違い何だか寒気がする。ただでさえ日が当たらないのに、更に寒いってなると…不気味過ぎる。
保健室の引き戸を開け、中に入るとそこにいたのは…。
『どうしたんだ? 君は1年生かな?』
「全然ちげぇじゃねぇかよ…」
『…ん?何か言ったかな?』
「いえ、なんでもありません…」
俺はそっと扉を閉めた…屋上でみた彼とは雰囲気がまるで違った。男なのは一緒だけど、あの先生は爽やか過ぎる好青年って感じがする。それに比べてあの彼は、儚くて今にも消えそうな程…美しかった。
「でも、なんでこんなに気になるんだ?」
俺は自分の胸に問いかけながら、答えを出せずにいた。
「ま、そんな事より少しこの校舎の部活でも見に行くかな」
そんな胸のもやもやを放置したまま、2階に上がった。
廊下を歩いていてもこの校舎で、部活動をやっていそうな所は見当たらない。…そもそも人がいなさ過ぎんだろ。外からは運動部の大きな声が響いてくんのに。
こんな所にいても仕方ないと思った俺は、突き当りの階段を下りて戻ろうとした。…するとその突き当りの教室から微かに物音がする。その教室が…。
「科学室…」
いかにもそれっぽくて、身の毛がよだつ…。
そうは思っても中から響く物音が気になって、扉を開いた。