第4章 愛のTABOO
それから1週間が過ぎていた。
俺たちは徐々にこの学校の仕組みや規則にも慣れてきた。 でも、この時期はどの部活で活動をするのかが、1年生の間で1番の議題になっている。
雅「ねぇねぇ、翔ちゃん部活どこにするか決めた?」
そしてそれは俺たちも例外ではなくて、毎日のようにその話をしていた。
…別に部活が今後の人生を決めるわけでもないのにな。
「いや、まだ…潤は?」
潤「俺はもう決めてあるよ」
雅「え! どこにすんの!?」
潤「即決で美術部に決めた、毎日でもセンセイ見たいから」
「そんな理由かよ…」
潤はこの1週間の間に、確実に大野先生との距離を縮めようと毎日奮闘していた。…見向きもしてもらえてないようだけど。
雅「じゃあ俺も美術部にしよ〜」
「はっ!?」
雅「俺だって智ちゃん見たいし…それに潤ちゃんも一緒なら良いかなって」
「智ちゃんって、お前らな…」
雅紀まで大野先生か…本当あの人のどこが良いんだろう。ただの綺麗な男ってだけじゃん。でも、文化系の部活なら変な先輩後輩のしがらみとかなさそうで良いな…。
雅「ね、翔ちゃんも一緒に美術部入ろうよ」
そう思っていた所に、タイミング良く雅紀が誘ってくる。…いや、そんな理由で決めていいのか? でも、こいつらだって大野先生目当てだし…理由なんてなんでも良いか。
そう決意して口を開こうとした時、クラスメイトの1人が俺たちに話しかけてきた。
『お前ら美術部入んの?』
潤「ああ、そうだけど?」
『覚悟しといた方が良いぞ』
雅「なんで?」
『みんなが大野先生を狙って美術部に入りたがってるみたいでさ、競争率が毎年あの部活は高いんだよ…入れるのは毎年先着30名のみ! そこまでして入りたいなら頑張れよ?』
…いやいや、すっげえ面倒臭いじゃん その部活。本来の在り方完全に忘れてんだろ。
潤「おい雅、俺たち絶対に入るぞ」
雅「おう!」
「俺はパス…今日の部活見学で見てから決めるわ」
美術部に入るべく闘志を燃やしている2人を冷静な眼差しで見つめつつ、どこに入ろうかと頭を張り巡らせていた。
1年生は必ず部活に入るっていう校則をどうにかして欲しいな…。