第3章 禁断の果実
潤「智…?」
「…ごめんなさ、俺…我慢出来なくて…っ」
俺が素直にそう言うと、潤さんは笑って俺の頭を撫ででくれた。
潤「可愛いから許すよ…それよりもう敬語なんて使わないけど良いかな?」
「…は、い」
潤「智もはやく俺との距離感に慣れてね?」
「頑張り、ます…」
俺がそう頷くと、頭の上に潤さんの
柔らかなキスが降ってきた。
そんな事にもいちいち反応してしまう…。
俺の身体ってこんなに敏感だったかな。
潤「ベッド行く…?」
「…っ、」
優しく囁かれた言葉に、俺は思わず首を振った。
潤「どうして…? そんな状態になってるのに」
潤さんの言っている事は正しい。
…けど俺は、ここのベッドの上でなんて。
「ば、場所を変えませんか…?」
潤「ホテル、とか?」
「えっと…狭くてもいいのなら、俺の家来ますか?」
潤「良いの…?」
俺が無言で頷くと、潤さんの表情が
明るくなったような気がした。
俺の家で良かったのか…?
そうして事が進み、潤さんがタクシーを呼んでいる間に俺は、ティッシュで蜜を拭き取り下着とジーンズを履いた。
ていうか俺、本人がいるのに本人の家で
自慰するとかちょっとおかしくねぇか…。
消え去りたい…。
なんて頭をかかえていた所に、潤さんが
ここを出ようと言った。
2人で潤さんの家を後にし、下まで降りて
呼んだタクシーに乗り込む。
俺の家の住所を簡単に告げ、タクシーは
夜の街を走り出した。
その間、タクシーの中は暫しの沈黙が続いた。
でも、潤さんから握られた俺の左手の
温もりは沈黙をものともしないほど、温かかった。
所々で運転手さんと潤さんが会話をする。
俺は少しだけ笑いながら、潤さんの手を握り締めた。
俺は貴方の事しか考えたくないんだ、と想いを込めて。
そうして俺の家の前でタクシーが止まり、
俺たちはお金を払って降りた。
「こんなぼろアパートですみません…」
潤「いや、智がここに住んでるんだって思うと
それだけで興奮しそうだ…」
なんの恥ずかしげもなく紡がれる言葉に
顔を赤らめながら俺は、潤さんを家に招き入れた。