第5章 ORGINAL COLOR⑤
「とりあえず昨日教えてくれたこと、なんとかせなあかんから、作戦会議しよう。今日学校終わったら空いとるか?」
ラインでそう告げられ、わたしはうなだれた。
クドウタクヤとの契約を無視して、剛と付き合ってしまったので、今後問題が起こるに違いないのだ。
昨日わたしは意を決して剛にタクヤとの間に起きた出来事を話した。
剛は
「そうなんや。ごめんな。俺のせいで。」
と言ったきり、そのあとの言葉は続かず、彼の気持ちを知ることはできないでいたので、わたしも話し合いをしたいと思っていたところだ。
しかし、この問題に立ち向かうことは、剛との距離を遠ざけるか、みんなにバラして剛に迷惑をかけてしまうかの二択だと思ってるので、とても気が重いのも確かなのである。
「うん。わたしも話したかったから終わったら会おう。」
ラインを送り返すと、直ぐに既読がつき、
剛のラインを開けたまま待っていると、早速返信がくる。
「今日何限まで?」
「4限で終わりだよ。堂本くんは?」
「俺は3限まで。ひろかさんの講義終わるまで待っとるわ。吉祥寺駅待ち合わせでええか?」
おそらくまたいつもの喫茶店くぐつ草で話し合いが行われるのだろう。
「くぐつ草待ち合わせでも大丈夫だよ。」
外で待ってもらうのは気が引けたのでそう返信した。
「いや、今日は俺の家でもええか?吉祥寺のアパートに住んでるから。」
あまりにも予想外すぎる返信に、スマホを片手にフリーズしてしまった。
家?!
家って
家?!!!!
そのまま何て返信したら良いか分からず、頭の中は高速で変な妄想が頭をよぎる。
あまりに破廉恥な妄想が始まってしまったので、わたしは勢いよくかき消した。
そんなことをしていると、また剛からラインがくる。
「いや?」
わたしは呼吸を整えながら急いでラインを打った。
「嫌じゃないよ。分かった!」
分かったの後にビックリマークをつけてしまったことを後悔する。これじゃあ期待していたみたいじゃないか。
やる気満々だと思われないかなあ??
不安な気持ちでいると、
可愛いクマの、「お願いします」と書いてあるスタンプで返信がくる。
わたしの表情は自然と笑顔になった。
緊張する。
でも堂本くんの家に行けることがこんなに嬉しいなんて。
放課後が待ち遠しいと思いながらスマホをポケットにしまった。