第4章 ORIGINAL COLOR④
剛は突然走り出したかと思えば、勢いよく足を曲げ高く高く飛び上がった。
「わあ!すごい!」
わたしは驚きながらもその姿を逃さまいと、シャッターを夢中で切る。
しかし、足をつく瞬間下にあった枯葉に滑らせ、バランスを崩してしまった。
「え!大丈夫??!!!」
勢いよく尻もちをついた剛にびっくりして、急いで駆け寄ると、彼は笑っていた。
「嘘やろ!」
地面に転げながら爆笑している姿が本当に子供のようで可愛らしく、わたしはついシャッターを切ってしまった。
「わ!!何してんねん!」
そうカメラを奪われて、私たちは顔を見合わせて笑いあった。
現在──
写真集を見ながら、当時の記憶がどんどん蘇り、自然と笑顔になってくのが分かる。
あの日は本当に楽しかった。
最後のページをめくると、尻もちをついてくしゃくしゃの顔で笑っている剛の写真で締めくくられている。
そこには直筆のメッセージで
「来年も頼みます。 堂本剛」
と書かれている。
わたしが撮った写真で最高の作品だ。
今年もやりたかった。
彼の作品を間近で見たかった。
感じたかった。
楽しかった思い出が鮮明に蘇り、その分悲しさが増していくのがわかった。
ほかの女の子がモデルをやっているかもしれない。
そう考えたらわたしの中にある醜い嫉妬心が暴れ出しそうで怖かった。
なんて往生際が悪いんだ。
もうこうやって思い出にしがみつくのもやめなければ。
わたしはアルバムを閉じてカバンにしまいこんだ。