第4章 ORIGINAL COLOR④
「他は、、、。」
わたしはピアノを習っていた時のことを思い出す。
歩きながら、黄色い葉っぱがはらりと落ち、
わたしはぼんやりとその葉が落ちていくのを眺めていた。
パシャパシャという小気味の良いシャッター音が耳に響き、心地良い気持ちになる。
「他は、普通なところかな。平凡なところ。」
「平凡?」
わたしが口を開くと、待ってましたというように、彼のシャッターを切るスピードが上がる。
「ほら。大学も普通でしょ?成績も普通で、スポーツもまあまあだし、顔もそこそこ。悩みも平凡だし。人より突出したところがないの。極端にできないこともないけど、極端にできることもない。贅沢な悩みだと思うんだけど、才能ある人とか、変わってる人見ると良いなあ。って思う。憧れちゃう。」
「そうなんや。」
剛はぼんやりとそう答えながらシャッターを切り続ける。
つまんない答えだったかなあ。
きっと彼には分からない悩みだもんね。
「ひろかさん結構変わってると思うけどなあ。」
するとカメラから目を離し、わたしの目をじっと見つめてそう答えた。
わたしはドキリとする。
「、、、え?」
そしてまたカメラを手にし、わたしのびっくりした表情を撮る。
「少なくとも俺は会ったことないわ。ひろかさんみたいな人。」
慰めてくれたのかなあ?
それでもわたしは嬉しくって、下を向いてはにかむように笑う。
「ありがと。」
するとまたカメラから目を離し、パッと笑顔になった。
「そや。アー写っぽい写真撮ろうや!」
「え?なにそれ。」
わたしがびっくりしていると、突然彼はわたしの腕を掴み走り出す。