第3章 ORIGINAL COLOR③
タクヤを勢いよく連れ出し、剛の姿が見えなくなったところで、パッと手を離した。
「どうしたの?その気になってくれた?」
「違います!!あんな道の真ん中で喧嘩しないで下さい!!」
「ああ、そういうこと?ごめんごめん。」
わたしが剣幕になって怒っているというのに、タクヤは依然ヘラヘラしたままだった。
「ではわたしはこれで帰ります。」
「え?!ちょっと待ってよ!練習来てくれるんじゃなかったの?」
「嘘に決まってるじゃないですか。」
タクヤはちょっと待ってよー!と繰り返し言っているところ、無視してその場から離れることにする。
最悪だよ。
堂本くんにもたくさん迷惑かけちゃったし、変な噂でも流されたらたまったもんじゃない。
「秘密バラされても良いのー?」
急ぐわたしの足取りがピタっと止み、後ろを振り返る。
「え?」
タクヤはいつものニヤニヤした怪しい笑みを浮かべた。
「本当はアート大じゃないんでしょ?そんで堂本剛と、、、、。」
そこまで言ったところでわたしは走って彼に近寄った。
「ちょっと待ってよ!!なんでそんなこと言うの。」
「そんなことってまだなんにも言ってないけど?」
「、、、嘘だもん。」
わたしは誤魔化す言葉が思い浮かばず、苦し紛れに一言だけそう言った。
「snsに拡散しても良いんだよ?堂本剛のモデルやってる女はこの子です。って。」
どうやらこの男は1から100まで知っているらしい。
そこでわたしはピンと来てしまった。
その想像は最悪で、恐る恐るそのタクヤに質問する。
自分の声が震えてるのがわかった。
「もしかして、堂本くんの弱み握るためにわたしに近づいたの?」