第3章 ORIGINAL COLOR③
「正解!よく分かったね。」
タクヤはまたニコっと少年のように笑った。
「信じられない、、、。」
開いた口がふさがらず、タクヤを見ていると、彼は静かに語り出す。
「一年の時からあいつのことが大嫌いだった。俺が血反吐はく努力して頑張った新人賞も涼しい顔して奪われた。次こそはと頑張ったのに2年、3年でも一度も勝てたことはなかった。だから弱み握って最後くらいはあいつに勝ちたいんだ。」
「そんなことで勝ってどうするの、、、?」
「そんなこと?お前には分からない!アート大で生きていくこと、アートの世界で生きていくことがどれだけ汚くてズルイ世界かってこと!俺には才能がないから、あいつに勝つためにはこうするしかなかったんだよ!」
そう叫ぶ彼の瞳は濁っていた。
わたしは胸が苦しくなっていくのが分かる。
彼の気持ちが痛いほどわかったから、、、。
でもこんなやり方は間違ってる。
確かに芸能界やアートの世界は汚いヤクザの世界だ。
しかしその作品をとりまくまわりの世界が汚いというだけで、その作品自体は綺麗でキラキラ輝くものであるべきなんじゃないのかなあ?
その輝きを求めてみんな血反吐はく努力をしてきたはずなのに、、、。
彼はどこかでそれを見失ってしまったんだ。
一番大切なものを見失ったものは、堂本剛には絶対勝てるはずがない。
剛はいつだって純粋で真っ直ぐな気持ちで作品と向き合っているんだから。
「そんな風に聴いたらますますあなたに協力はできない。仲良くもなりたくない。」
「じゃあお前と堂本との関係バラしても良いんだな?今の時代そんなの簡単だぞ。」
「、、、。」
こいつは本当に性根が腐っている。こんな風に脅して勝ってなにになるっていうの?
「あいつはジャニーズと契約したんだ。入る前にスキャンダルが出たらあいつはもう終わりだな。契約も解消されるかもしれない。」
「、、、、。」
わたしは考え込んだ。
あたまをフル回転させて。
こいつのことは絶対に許さない。
彼の純粋な作品づくりを邪魔するなんてわたしがさせない。
「わたしにどうして欲しいの?」
わたしは悔しくて悔しくてたまらない気持ちを抑え、唇を噛み締めてそう言った。