第3章 ORIGINAL COLOR③
「お前堂本剛だろ?」
さっきまで強く掴んでいた腕をパッと離され、タクヤの方を見ると、目が座っていた。わたしはゾッと背筋が冷たくなるのを感じる。
「俺はこの子と知り合いなの。お前には関係ねーだろ。」
「明らかに嫌がってるやろ。やめろ言うてんねん。」
剛も怒りが露わに出ていて、なんだか異様な雰囲気だ。
「今から宣戦布告のつもりか?絶対負けないからか。」
「は?何がや。」
「とぼけんな。学祭だよ。去年は僅差で負けたけど、今年は絶対負けねーからな。」
タクヤは今にも拳が出そうなほど震えている。
「何の話や。お前誰やねん。」
「クドウタクヤだよ。」
「は?せやから知らん言うとるやろ。」
タクヤはもうわたしのことなんて興味をなくしたように剛に突っかかっている。
「ふざけんな!!!!お前ホントにアート大生か?!去年作品賞お前が2位で俺が3位だっただろ?!」
「だからなんやねん。」
「僅差だったからびびって今から宣戦布告しに来たんだろ?」
「は??2位とか3位とかくだらないねん。だから負けたんやろ。あほらし。ほら、行くで。」
剛はわたしの腕を引っ張りその場を去ろうとする。
「おい!!!ちょっと待てよ!!!お前どこの事務所と契約結んだんだよ。」
「は?」
剛は立ち止まり振り返る。
「卒業後だよ。ジャニーズと契約結んだんだろ?」
え?!!!
わたしはびっくりして剛の方を見ると、彼は冷めた目でタクヤをジッと見つめていた。
すると、タクヤは突然笑い出した。
「ありえねーだろ。アート大がアイドル事務所入るなんて!お前アートの心の捨てる気かよ!ミーハーじゃねーか。だっせえ。」
「うるせえなあ。」
剛は低い声でそうボソっと呟く。
「俺は何でもやりたいねん。歌でも芝居でも絵でもファッションでも。だからジャニーズにしたんじゃ。俺の人生なんだから好きにやらせろや。口出ししてくんなや。」