第3章 ORIGINAL COLOR③
「ごめんなさい。わたしこれから家でレポート書かなきゃいけないから。」
そういうとタクヤは残念そうな顔をする。
「そんな避けなくていいじゃん。俺のこと嫌い?」
「いや、嫌いっていうか、クドウさんって有名な方なんですよね?去年3位とったって。そんな方と演奏なんてできないです。わたしのピアノなんてお世辞にもうまいって言えないし。」
タクヤはわたしの腕を掴んだまま息を吸い込む。
「分かった。正直にいう。俺ひろかさんに一目惚れしたっぽいわ。」
「え?!!!」
いきなりの告白に、驚いてしまって色気のない裏返ったような声が出てしまった。
「まあ、でも演奏してるとこ見て好きになった訳だから、上手いとか下手とか俺よくわかんねーけど、なんかソウルみたいなのはあるんだと思う。バンドってそれだけあれば伝わるものだと思うし。」
いかにもバンドマンらしい告白だなあ。なんて冷静に聞いてしまう。
「まあ、バンドが無理でも俺ひろかさんとは仲良くなりたいし、とりあえず練習付き合ってよ。」
なんだそれ。
もうよくわからないけど、とにかく強引な彼の対応にどうしていいか分からなかった。
「ごめんなさい。とにかく今日はレポートがあるので、、、。」
掴んだ腕をなかなか離してくれずそのチカラも少しずつ強くなっていく。
ああ、もうこれどうしたら良いんだろう。
途方にくれて困っていると、
突然後ろから別の声が聞こえてくる。
「やめろや。困ってるやろ。」
振り返ると堂本剛だった。
あ。
この間抱きしめられてから初めてみる彼の姿にこんな状況でも、カッコイイー。と身に染みて思ってしまった。