第3章 ORIGINAL COLOR③
放課後授業も全て終わり、先に帰ることにする。
アヤメは6限まであるので、別れて一人でトボトボと帰り道を歩く。
アヤメにはああ言ったけど、なんだか不思議な気持ちになってしまった。
あんな風に剛に抱きしめられて、舞い上がって、もしかしてわたし勝手に彼女ヅラしてしまっているのかもしれない。
確かにわたしには彼氏がいないし、別に練習をのぞくくらい良いのではないかと。
心のどこかで剛に申し訳ないと思ってしまっているわたしがいるのだ。
こうやって3年間付き合いがあって、作品づくりに関わっているのに、告白のコの字もないということは剛とわたしが付き合うことは100%ないっと言っても過言ではない。
それなのにわたしが違う人と会うことに申し訳なさなんて抱く必要だってないのだ。
危ない。危ない。
わたしってば勝手に一人で暴走して、とんでもない勘違いをしてしまうところだった。
まあ、それを差し引いてもやっぱりあの男にもう一度会いたいかと言えば正直会いたくないし、ここはもう一度丁重にお断りをしよう。
スマホを取り出し、
「ごめんなさい。やっぱりバンドは興味ないので他の方を探してください。申し訳ございません。」
さらさらと文章を打ち、ポンと送信ボタンを押した。
するとその瞬間
「なんでーー??」
と後ろの方から声がする。
え?!
驚いて振り返るとそこには例の男クドウタクヤが立っていたのだ。
わたしは固まって彼を見ていると、遠くの方からトトトと、走ってこちらにやって来た。
「歩いてんの見かけたから追いかけちゃった。」
タクヤはニコッ怪しい笑みを浮かべる。
「ずるくないー?この間は見に来てくれるって言ったのにー。」
「いや、ごめんなさい。ホント人前で演奏とか無理なので。」
「だめだめ。断るのは俺らの演奏見てからだって言ってるじゃん。」
そういうと、わたしの腕をがっしり掴む。
「これから練習あるから付き合ってよ。」