第29章 それぞれ
「敏感だなぁ…。かわいい、かわい。」
そう言って鉄朗は、手を止めて角度を変えて、何度も何度もキスをする。
そんな鉄朗の声を耳に入れていると、今度は人の声ではなく、ドアをノックする音が部屋に響いた。
すると鉄朗は、先程まで止めていた手を動かし、ナカに2本の指をくぷりと入れる。
「…ッ、ぁ…」
必死に手で口を覆い、声を出さないようにする。そして、ダメだと言うことを伝えるように首をふるふると横に降った。
「黒尾ー、風呂借りんね」
ドアをノックしたのは木葉さんだったらしい。
それにしても、静かすぎて外に音漏れてないかな…?大丈夫…だよね?
そんなことを考えていると、空いている手で陰核をいじられる。
「2人でごゆっくり」
あ、ダメだ、このままじゃ声抑えられない。
…木葉さん、早くドアの前から移動して…!
なんて酷いことを考えながら声を抑え、足音が聞こえたと同時に思わず止めていた声を出してしまう。
「木葉に聞かれると思って興奮してたの?」
「ちがうッ、ぁんっ、そんなこと、ない…!」
「そっかー。あんなに俺の指締め付けてたのにね。」
やばい、イきそう。
声もこれ以上抑えられない。
「イく?イきたい?」
その言葉に、私は先程とは違い、縦に首をふる。
「そっかー。そうだよね。イきたいよね」
「じゃあさ、」
手を動かしたまま、鉄朗は私の耳元に唇を近づけてこう言った。