第29章 それぞれ
「お風呂サンキュ」
「ありがとう。お陰様でポカポカだよ」
ドアの向こうから木葉さんとエミリの声が聞こえた。
「わざわざご丁寧にドウモ。俺達も入るから部屋でゆっくりしてろな」
鉄朗がそう返すと木葉さんは返事をし部屋に戻ったのかドアを開けて閉まる音が聞こえた。
「俺らも入ろ?...あ、立てる?」
立てるし、って言おうと思ったけど腰が痛すぎて甘えることしか出来ない。
「連れてってください...」
私がそういうと少しニヤつきながら鉄朗は言う。
「あぁ、もちろん」
久しぶりのその顔がカッコイイだなんて思ったのは私だけのひみつ。