第29章 それぞれ
片付けが終わり、リビングでみんながぐだーとしていると、鉄朗が私たちに問うた。
「今日、誰か泊まってく?…あ、綾菜以外で。」
…え?私以外…?…なにか悪いことでもしたかな…?
「俺は明日練習試合あるから無理そう。泊まりたかったー!」
「私も用事あるから無理かな。…ところで、なんで綾菜ちゃんはダメなの?」
光太郎とエマさんは泊まれないらしい。そしてエマさんは私の聞きたいことを代わりに聞いてくれた。
「だって、綾菜は電話した時、泊まるって言ったから。…あれ、もしかして明日用事入った?」
「あ、…えっと。うん。泊まらせてもらいます。」
電話での約束、忘れてしまった。
…まぁ、その話はあとで鉄朗に言おう。
「2人はどうする?」
「あ、じゃあ、泊まらせてもらいます」
「あ…あの、私も。」
木葉さんとエミリさんも泊まっていくらしい。鉄朗は少しだけ笑顔になり、2人に答えた。
「はーい。二人とも同じ部屋で平気?そこなら空いてるよ」
「サンキュ。俺達はどこでも大丈夫デス。」
「じゃあ、廊下で寝とけ」
「え!?それは酷くない黒尾くん。女の子もいるんだよ?」
「しーらね」
ふたりで冗談を言い合っていると、自然と周りも笑顔になっていく。
この空間がとても好き。みんなでワイワイできるのすごく楽しい。
なんだか、久しぶりの感覚だなぁ。と思いながらみんなの会話を聴きながら笑っていた。