第29章 それぞれ
「このあと何する?」
みんなおなかいっぱいパンケーキやスナック菓子を食べていた。
既に私もおなかいっぱいだ。
「とりあえず片付けしようぜ。」
「そうだね。じゃあ、私、洗い物やるよ。」
鉄朗の言葉にそう返すと、エミリさんも、私も洗い物やると言い、2人で洗い物をすることに決定した。
その他の人は、使い終わったお皿を捨てたり等の後片付け。
「いこ、綾菜ちゃん!」
こくりと頷くと、とりあえず持てる分の洗い物を持ち、キッチンへ向かった。
「綾菜ちゃん、私と話すの緊張してる?それとも気まずい?」
エミリさんが少しだけ笑いながら私に話しかけてくれる。
「…緊張…してます。すみません。」
「ううん。大丈夫だよ。じゃあ、何かお話しよっか。」
「そうですね。」
…とは言ったものの、話の話題は思いつかない。
とりあえず、といったらなんだけど、ベタな質問でも聞いてみようか。
「エミリさんは、何年生なんですか?」
鉄朗の妹ということは、多分高校生だろう。
「私は高2だよ。綾菜ちゃんは?」
「あ、私は高3です。」
私がそう言うと、エミリさんは、あちゃーという効果音が似合いそうな顔に変化した。
「あっ…私の方が年下なのに、軽々しくタメ口聞いてごめんなさい。」
「そこは、全然気にしなくて大丈夫です。他校なんだし、タメ口の方が親近感湧きますもんね」
私がそう言うと、エミリさんは安心したのかにへぇと笑った。…か、…かわいい。
「ありがとう。でも、それなら綾菜ちゃんもタメ口使ってくれたら、もっと親近感湧くんじゃないかな?」
…そっか…。でも、会ったばかりの人にタメ口なんて聞いて大丈夫だろうか。…いや、でもエミリさんはきっとそういうのを気にするタイプではなさそうだな。
「お言葉に甘えさせてもらうね。ありがとう」
「うん!たくさんお話しよう!」
すごく笑顔の似合う子だな…。
と、内心エミリさんに惹かれたながら、手を動かした。