第29章 それぞれ
それぞれが自分だけのホットケーキを食べながら、会話を楽しんだ。
久しぶりにみんなで会うから、会話は尽きることは無い。
「綾菜ちゃん、前あった時より、随分と髪伸びたな。」
木葉さんにそう言われ、そうかな?と思い、毛先をくるくるといじってみた。
…やっぱり、自分ではよくわからない。
「今はもう伸ばしてるかんじ?」
「んー…どうなんでしょう。どうすればいいですかね?」
自分ではよくわからず、思わず問いかけてきた木葉さんに聞いてみた。
「綾菜ちゃんさ、髪切る前、すっげー長かったじゃん。それも似合ってたし、短いのも似合ってる。」
…それじゃ、答えになっていないのだけど…。とは思ったけど、まぁ、無理な質問をしたんだし、気を使っての答えだろう。
「…なにそれ…。それだとなんもわからないですよ」
と、木葉さんに言うと、次に帰ってきた声は、鉄朗の声。
「髪、伸ばしたら?前までとは言わねぇけど。」
「うん。伸ばす。ありがとう」
よし、髪は伸ばすことにしよう。心の中でそう決めると、エマさんに、綾菜ちゃんも単純だね〜と、ツッコまれてしまう。
でも、鉄朗に言われたら、伸ばそうかなーとは思うもん。仕方ないこと。