第29章 それぞれ
ホットプレートで焼いているから、一度に3枚焼けるため、すごく楽。
そしてみんなでワイワイ騒ぎながらの作業なので、ただフルーツを切ってるだけでもとても楽しい。
「あの、…なんて呼んだらいいですか?」
小声で私にそう問うのは鉄朗の妹さん。
「あ、…えっと、綾菜って気軽に呼んでください。」
それより、私はなんと呼んだらいいのだろうか。先程、エミリと呼んでください、と言っていたけど、軽々しく人を呼び捨てにはできない。かといって、ちゃん付するのも、馬鹿にしてるの?と思われそうだし…。
「おっけ、じゃあ、綾菜ちゃん!ちなみに私の事、なんて呼びたいですか?」
これまた難しい質問を…。
でも、多分この方は、呼び方とかあまり気にしなさそうだし、あまり悩む必要は無いのかも。
「エミリさん、とお呼びしてもよろしいですか?」
「綾菜ちゃんがそう呼びたいなら、私は全然おっけーだよ!」
鉄朗とは似つかない元気な性格…。いや、鉄朗も元気だけど、なんかこう、鉄朗は元気だけど元気じゃないじゃん?…いや、うん、自分でも何が言いたいのかよくわからない。
「綾菜、はい、これ。あとは好きなだけトッピングしろよ」
「ありがとう」
鉄朗からホットケーキが乗っている紙皿を受け取ると、近くにあるフルーツやホイップなどを好きなだけ乗せて、私だけの贅沢なホットケーキが出来上がった。