第28章 1番最後。
2人で晩御飯を食べて、2人で風呂に入った。
今日は綾菜と離れたくなかったから。
「2人で寝よう?」
綾菜がイエスと答えることは何となく察していたから、俺は綾菜の返事を聞く前にベットの縁に腰をかけ、足を組みながら綾菜の目を見つめていた。
「…うん」
小さいけど、イエスという返事が聞こえたことが嬉しくて、思わず両手を広げて待っていた。
「俺の胸に飛び込んでおいで」
ふざけたようにそう言うと、綾菜は「本当にいいの?」と俺に問う。
「いいよ、思いっきり来いよ」
すると、綾菜は少しニヤリとしながら思い切り俺のお腹に向かって突進してきた。
「いてぇぇッ!!」
「だって、飛び込んで良かったんでしょ?…それも、思い切り」
俺がお腹をさすってるのを横目に見ながら、綾菜は笑っていた。
「綾菜ちゃんは、イノシシなんですネ」
「あ、バレた?」
「とっくに」
これが引越前夜の会話とは思えねぇ(笑)
だけど、俺たちは甘い空気を作るのは得意な方でないし、甘くなっても、多分、壊れる。…もちろん、いい意味で。