第28章 1番最後。
「……ん…」
「起きたか?」
…あれ、私、寝てた…。
「ごめんなさい、私、寝ちゃってた。…ああ、しかも家まで送ってくれたんだね。何から何まですみません。」
悪いことをした…。眠くないとか言っておきながら、ガッツリと寝てしまうなんて…。
「疲れたんだろ?別に気にしてねぇから、平気。」
「…ごめん。ありがとう」
会話が終わると、私は時計に目を向けた。時刻は午後6時。もう、夕方も終わりそうだな。…本当にもったいないことをした。
「夕飯食べる?それとも、風呂入る?」
「んー…お腹すいたし、ご飯食べたい」
「了解。じゃ、お母さんに言ってくるな」
ありがとう、という前に鉄朗は部屋を出て行ってしまった。
本当に気が利く。…こんなんで、鉄朗がいなくなったら、私、大丈夫なのかな…。
バス1本で30分、歩いて50分とか1時間。そこまで遠い距離じゃないけど、今みたく会いたいと思ったらすぐ会える距離ではない。
…そもそも、こんなに近距離に住んでることが、まずすごいのか。