第27章 甘くて苦い。
「綾菜、全部、服脱いで。俺の目の前で」
「…え」
ま、…マジで…。
いや、まぁ、どうせ後で脱がされるけどさ、…けど、ね?うん。恥ずかしいじゃん。
「あ、もしかして脱がされたい?」
「違う。そんなんじゃない。…自分で脱げるから。」
あ、これハメられた…。とか思ったけど、私は鉄朗の視線を感じながら、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。
…視線は気にしちゃダメだ。
あんなの気にしたら、全部脱げない。
「相変わらずいいカラダしてんなぁ。」
お世辞にも程があるんですけど…。
寝っ転がったら、膨らみなど見えないこの貧相な胸。それに比べて、よく食べるせいでお腹についたぷにぷにとしたお肉。
「こんな体をちゃんと見てくれるのは鉄朗くらいだよ…。本当に」
もっと、綺麗な体に生まれたかったな。
「なぁに言ってんだよ。こんな綺麗な体、俺以外にもみんな見てるんですけど。俺がすっげー嫉妬するぐらい。」
見られてるの、全く分からないけど…。
「痩せすぎじゃなきゃ、逆に太ってるわけでもねぇし。この、ちょーと摘める柔らかいお肉……イテッ…ご、ゴメンナサイ」
「気にしてるんだから。…つままないでよ。」
本当に気にしてるんだから。
私は、心の中でそう思いながら、鉄朗の頭に置いていた手を移動させた。