第27章 甘くて苦い。
「これ、どうぞ」
鉄朗はテーブルの真ん中に紙袋を置いた。
紙袋は、真っ白で真ん中に有名ブランドのロゴが書いてあるシンプルなデザイン。
…これ、お高いやつじゃないですか…
「ありがとう。」
私が貰っていいのかわからず、少し戸惑っていると、鉄朗は優しく笑いながら私に言った。
「それ、開けてみて」
言われたとおり、紙袋から出すと、中身はラッピングしてある。…随分と焦らすのね。
丁寧にラッピングを外すと、中から四角い中くらいの箱が出てきた。
これも、紙袋と同じく真っ白で真ん中にお店のロゴが書いてあるデザインだ。
上の箱を持ち上げると、中からは時計が出てきた。
「ありがとう。」
その時計は、ケースが真っ白で、バンドは茶色のすごくシンプルで可愛らしいデザインだ。
私は、その時計を眺めていると、鉄朗がその時計を持ち上げ、時計の裏側を向けた。
そこを見ると、裏蓋には私の名前が書いてあった。
「すごい。」
思わず小さく声を漏らすと、鉄朗はジャージの袖を捲り、私に見せてくる。
鉄朗の腕を覗くと、私と色違いの時計が着いていた。
「ペアウォッチってやつ。」
そう言いながら、自分の時計を外すと、先程と同じく、私に時計の裏側を見せてくれる。
そこには、"TETURO"と書いてあった。
「これ、めんどくさい彼氏だな、とか思っただろ(笑)」
「そんなことないよ。いつでも鉄朗と入れる気がして、すごく嬉しい」
「なんか、照れんな」
鉄朗はそう言いながら、自分の頭を掻き、そっぽを向いた。
…相変わらず可愛いのね。