第27章 甘くて苦い。
「エマちゃん、ごめん、遅れた!」
「大丈夫よー。寒いし、上がってく?」
「おう、そうする。お邪魔しマース」
俺はさみぃさみぃと手を擦りながら言い、家に上がらせてもらった。
「家の中までいい香り!!」
「はいはい。」
エマちゃんは呆れたようにそう言うと、俺をリビングに連れていってくれる。
俺は、遠慮することもなくズカズカと歩いていくと、エマちゃんに、椅子に座っててと言われ、椅子に座っていることにした。
「コウタロー甘いの平気?」
「全然大丈夫!」
リビングから声が聞こえ、簡単に答えると、良かった、とエマちゃんの嬉しそうな声がリビングに届いた。
これ、もしかしてチョコ貰えるやつ?
リビングに戻ってきたエマちゃんは、ガトーショコラが乗ったお皿を運んできている。…これ、チョコ貰えるやつじゃん。
俺はワクワク気分で食べようと思ったけど、エマちゃんは何か言いたげだ。
「どうした?話したいことあんのか?」
俯いているエマちゃんに、できるだけ優しく問いかけると、元気よく頭をあげた。