第27章 甘くて苦い。
「ごめん、コウタロウ。」
「どした?」
用事でも出来たか?なんて、軽い気持ちでエマちゃんの次の言葉を待っている。
エマちゃんは、吹っ切れたように笑顔になると俺の目を見てまっすぐ言葉をぶつけてきた。
「私、コウタロウのこと……」
なに?俺のこと?…え、なに?
___好きになっちゃいました。
時間が止まった気がする。
俺の呼吸も止まった気がする。…いや、気がするだけじゃない。これは本当に止まった。
簡単に、ごめん、とは言えない。なんか、普通の告白とは少し違う気がしたから。
…何が違うのかはわかんねぇけど。
俺、馬鹿だし、なんて答えていいのかわかんねぇ。
だけど、簡単な言葉で返したらダメ、ということはなんとなく察した。
「コウタロウ……コウタロウ?おーーい、生きてる?」
手のひらを俺に向けて振り、言葉を発するエマちゃん。…表情は、やっぱり笑顔。
「コウタロウ、真剣に考えてくれるのは嬉しいけど、フルだけなら、そんなに考えないでいいよ。」
なんで、そんなこと言うんだ?
「エマちゃんは、それでいいの?」
「それで構わないよ。…あ、でも、アレだよ?別に考える時間が必要なら、急かさないよ。」
もしかして、フラれること、分かってた?
「ねぇ、コウタロウ、なんでそんなに悩んでるのか分からないけど」
エマちゃんの顔から、笑顔はない。
「別にフラれたからって、バレンタイン上げないわけじゃないよ?まぁ、コウタロウが嫌なら、食べないで全然大丈夫だけど」
「真剣な顔して言うのがそれかよ!」
真面目な話しかと思うじゃんか!