第27章 甘くて苦い。
「綾菜、どうする?俺の家くる?」
今日は、何も予定なかったけど、勝手に泊まったりして大丈夫かな?…いや、でもきっとお母さんのことだから、大丈夫って言うか。
「あ、突然ごめんな。でも、もし泊まりたいなら今電話してもいいよ」
「ありがとう」
鉄朗の言葉に甘えて、私はスマホを取り出すと、お母さんに電話をかけた。
「お母さん、今日、鉄朗の家に泊まってきてもいいかな?」
私の言葉に、やっぱりお母さんはいいよ、としか言わない。
私はお母さんに言葉を返して、電話が切れると手に握りながら鉄朗に言った。
「お邪魔させてもらいます…」
「あいよー。じゃ、とりあえず家ん中入るか」
鉄朗はそう言いながら、鍵を取り出すとガチャりと音を立てて鍵を開けた。
…こんなことでさえかっこいいなんて…。
「お邪魔します。」
「はーい」
そう言えば、エマさんと光太郎は今どうなっているんだろう…。