第27章 甘くて苦い。
紙袋を見る限り、有名なブランドだ。
俺的には、チョコを貰えただけでも嬉しい。
そんな色々欲しいとか思わねぇしな。
「ありがとう。にしても、こんなに貰っていいの?」
一応、聞いてみる。
「うん。いつも色々奢ってもらってるし、正直こういう時ぐらいしか、…恥ずかしくてプレゼント渡せないから。感謝の気持ち、というか……まぁ、そんな感じかな。」
綾菜なりに考えてくれたんだな。
確かに、綾菜の性格からして普段からプレゼントを渡したりするのは無理そうだし、こういう時ぐらい快く頂くことにする。
せっかく、俺のために選んでくれたんだし。
「あ、それと、実はその中身、お財布なんだけど、平気だったかな?」
「平気だけど、なんで?」
俺は不思議に思って首を傾げると、綾菜は少し安心した顔で言った。
「あの、鉄朗のお財布昔から使ってそうだったし、愛着あったのかなって思って…。」
「いや、財布とか全然気にしてなかっただけだから平気。」
たしかに今使ってるの、中学の時から使ってるか?でも、そんなにいいやつじゃないし、ボロボロだ。
それを見た綾菜は、俺のために財布を選んでくれたんだろう。
「あ、それと、いつも鉄朗はポケットに閉まってるから、二つ折り財布にしたよ」
「綾菜、まじ可愛い。最高」
俺はカバンとか持つのは正直嫌いだ。
だから、いつもズボンのポケットに財布を入れている。
それを見ているだけでわかった綾菜は、わざわざ二つ折り財布を選んでくれた。
…あー、まじ神、まじ天使。