第27章 甘くて苦い。
私は帰る時に鉄朗の家まで送らせてもらい、家の前につくと、鉄朗が家に入る前に聞いてみた。
「鉄朗、渡したい物があるんだけど、いいかな?」
私の返事に鉄朗は軽く返す。
「うん、いいよ」
私は手提げに入れていた小さな紙袋を取り出し、鉄朗に渡した。
「これ、どうぞ…。鉄朗が食べられるように苦めに作ったけど、食べれなかったら無理しないでね」
食べてくれなくても、私は受けってもらえるだけで十分。
「ありがとう。美味しく頂くぜ。…あと、俺、綾菜にチョコ貰えるって思ってたから、誰からも受け取ってねぇからな」
それは別に受けたとっても良かったんじゃ…。拒否された女子達が可哀想な気もしなくはないけど、だけど、私の分だけを受け取ってくれるって言うのが、嬉しかったりもする。
「なんか、悶々と考えてるけど、大丈夫かァ?」
「大丈夫。あと、もうひとつ」
そう言いながら、再度手提げを漁ると、黒色の紙袋を取り出した。