第27章 甘くて苦い。
「そうですよね。私が2人の関係をいくら壊そうとしても、絶対に壊れないですもんね。」
私は、そんなことを言わせたかったわけじゃないんだけどな。
でも、なんて言っていいのか分からない。
私が何も言えないでいると、ミカちゃんは言葉を続けた。
「でも、私は黒尾先輩に幸せになって欲しいんです。…あ、もちろん先輩にも。あ、そうだ、忘れてなかったら結婚式に招待してくださいよ!」
ミカちゃんはそう言って笑う。叶わない恋なんて、辛いはずなのに。
でも、無理してでも元気に振舞ってくれるなら、それに答えないと。
「忘れるわけないよ。絶対、呼ぶからね」
私も笑顔でそう言うと、私の後ろから聞き慣れた声がした。
「綾菜は結婚式はどんなのにしたいとかあんのか?」
ま、…まじか…。
今までの会話、全部聞かれてた?
「特にないかな。」
簡単にそう返すと、鉄朗は軽く笑いながら言う。
「なにそれ(笑)まー、ミカちゃんも呼んでやるからなー。んで俺に惚れたりして?」
「それで鉄朗とミカちゃんが愛人になるってこと?」
「それはねーよ。俺が見てるのは綾菜だけ」
はいはい…。と思いながら冷めた目で鉄朗を見た。すると、鉄朗はニヤニヤと笑う。
「やっぱりお似合いですね!じゃあ、私は失礼します!結婚式楽しみにしてます」
ミカちゃんは笑顔でそう言うと、先に帰ってしまった。