第27章 甘くて苦い。
「コウタロウ、朝なのにゴメンね」
「大丈夫だぜー、どうした?なんかあった?」
20秒経っても出なかったら、諦めようと思ったのに…。電話、出ちゃうんだ。
緊張しても、それを声にしたらダメ。
だから、できるだけ落ち着いた声で話す。
「コウタロウ、今日会えるかな?」
会えますように…。と思いながら、手を胸に持ってきた。
「今日は学校行く予定だから、部活終わりなら会えるぜ。それでいいなら、俺は大丈夫」
「うん、じゃあさ、部活おわったら私に連絡してくれるかな?駅まで向かうから。」
「いや、それはダメだろ。つーか、俺がやだ!」
…まさかの、会いたくない…ってやつ?
でも、しょうがないか。部活のあととか早く家帰りたいもんね。
なんて、想像してたマイナスのことではなく、コウタロウは元気に私に言った。
「俺がエマちゃんの家行くわ。夜道を女ひとりで歩かせるとか、そんなこと出来ねーし」
まさかの、そっちね。さすがコウタロウ、優しい。
「でも、部活終わったあとだよ?大丈夫なの?」
「俺、エマちゃんの家知ってんし、大丈夫!っつーことで、夜会おうな。ちょい、準備しないといけねーから、切るぞ?」
「朝からありがとう、じゃあ、待ってるね」
多分、私の顔すっごい緩んでると思う…。
嬉しいなぁー!