第27章 甘くて苦い。
「ありがとうございます」
「いえいえ。女の子をこんな遅くに1人で帰らせる訳には行かないのでね。僕、紳士なんデ。」
クロはそう言いながら、胸に手を当てた。
…まぁ、確かに、様になってる……うん。
イケメンは何やってもカッコイイのね。とか馬鹿なことを考えている。
「なに?俺に惚れた?」
「もうとっくに惚れてるよ。」
「だよねー、知ってる」
…今日のクロはふざけるのが好きなのかな?
「じゃーな。」
クロはそう言い、ヒラヒラと手を振ると、自分の家に帰って行った。
私はクロが角を曲がって見えなくなるまで後ろ姿を見えなくなるまで見ていることにする。
すると、クロは突然こちらを向いて行った。
「早く家ん中入りなよ。風邪ひくぞ?」
「気にしないで。私は大丈夫だから」
普通よりも少し大きな声で会話をする。すると、クロは私の方に向かって歩いてきた。