第27章 甘くて苦い。
「じゃあそろそろ帰りますね」
「ちょっと待って!…あと、5分くらい」
私は、エマさんにそう言われたら、帰るわけにも行かず、まとめていた荷物をもう一度置き、座り直した。
「どうしました?」
「…いや、もう少しだけ話してたいなー、なんて。あはは……。…あ、もしかして、予定あるとか?」
「予定は無いので気にしないでください。では、もう少し話しましょうか」
私がエマさんにそう言うと、帰ってきたのはインターホンの音。
「綾菜ちゃん、ごめん、もう帰ろうか!荷物もって玄関に行くよ」
「いや、でも今誰か来ましたよ?」
不思議そうにそう問うけど、とくに返事は帰ってこず、私はエマさんに言われた通りに、荷物を持って玄関まで向かった。
「じゃあね、綾菜ちゃん!」
「はい、また今度。今日はありがとうございました。」
頭を下げて、エマさんにそう言うと、ハッと思い出す。
…誰か来てたよね…?
でも、まぁ、もう帰ってるか。
「お邪魔しました。」
そう思い、私はエマさんに挨拶をして玄関を開けた。