第27章 甘くて苦い。
「バレンタインの日…。自分の中で振られる覚悟は出来てるから…ね?」
エマさんは、ガトーショコラを一口サイズにフォークで切りながら、そう言った。
「振られる覚悟って、なんでですか?」
光太郎は彼女なんていないはずだ。どうして、振られるって言い切ってしまうのだろうか。
「光太郎が私のこと好きなわけないじゃない(笑)そんなの分かるよ。…って、まぁ、この話は終わりにしようか!」
「分かりました」
なんで好きなわけないとか、振られるとか言ってるのだろうって、すごく疑問に思うけど、エマさんが言いたくないようだし、無理に聞くのはやめておこう。
「なんか、綾菜ちゃんとコウタロウってちょっと似てるよね」
…似てる、のかな。
そんなこと初めて言われたんだけど…。
「ありがとうございます?」
「そこは語尾をさげないで、自信を持ちなよ!(笑)」
「分かりました」
私たちは特に話す話題もなく、他愛のない話をしていた。