第27章 甘くて苦い。
「出来たー!」
ガトーショコラの上に生クリームを絞り終わるとエマさんはそうそうにそう叫んだ。
「綾菜ちゃん、食べてみようか!」
「そうですね」
エマさんはすごく手際が良くて、教え方もすごく上手。
…料理ができるっていいなぁ…。とか思いつつ、私はエマさんが待っているテーブルへと向かった。
2人で向かい合わせに座ると、二人同時に手を合わせて、いただきます、と声を揃えた。
「んー、ちょっと甘めだねぇ…。」
「…たしかに…」
クロは甘いの苦手らしいしなぁ…。
どうすることやら…。
「綾菜ちゃんは、カカオ70とか少し苦めのチョコで作ってみよっか。これ、ミルクチョコだから甘いのかも。コウタロウは、甘いの平気よね?」
なるほど、チョコを苦めのにすればいいのか…。と、納得しながら、エマさんに言葉を返す。
「平気ですよ」
「よかった!」
エマさんは笑顔でそう言う。
…だけど、突然笑顔が消えて、私に言ってきた。
「綾菜ちゃん、…わたし、ね。…好きな人、できたの。」
そうなんですね、とか、簡単に言えるような雰囲気じゃなくて、エマさんの次の言葉を待つことにした。