第26章 久しぶりの。
「イッタダッキマース!」
「召し上がれ」
最後の仕上げにやった塩、コショウ。…正直、上手に出来た自信はない。
だけど、クロは嫌な顔ひとつせず、頑張ったな、と言ってくれた。
私の料理の面倒を見ながら、クロは器用に手を動かしていたため、料理は順調に進んだ。
ちなみに、クロが作ってくれたのは、きんぴらと生姜焼き、野菜がたっぷりの具沢山スープ。
「クロ、すごく美味しい…。さすがだね」
「そ?俺は綾菜が作ってくれたポテトサラダの方が美味しいと思うけどなァ?」
「俺はどっちも美味い!決めらんねー!」
2人は本当に優しいな、と思いながら、白米を頬張った。
「てか、綾菜ってなんで今まで料理出来なかったんだ?」
突然投げかけられた疑問。
…なんで料理が出来なかったか、なんて言われても、出来なかったから出来なかったに決まっているだろう。
「綾菜は、まだ1人で飯作んのはやめた方がいいんじゃね?怪我しそうだし。」
そうだよね…。包丁もちゃんと持てていなかったらしいし。…自分では、持ててると思っていたんだけどな。
「ケガ!?じゃあ、俺が隣にいれば大丈夫か?」
「いや、逆に危険だわ。」
「そっかぁー…。」
光太郎はクロの言葉に本気で落ち込んでいるらしい。
この二人を見ているだけで、ものすごく面白い。…これは、私だけの秘密だけど。