第26章 久しぶりの。
「良かったな、綾菜」
「え…」
なにが どうして そうなった
泣いていた光太郎は、笑顔で私の目を見つめてくる。
だけど私は、光太郎が泣いる理由が分からない。ちなみに、その後に言った言葉も。
「黒尾と仲直り出来て、良かったな。」
そのことか。納得。
光太郎は私たちのために涙をしていた。
きっと、光太郎はものすごく優しいから、人のことを考えると泣いてしまうのだろう。
…普段はこんなんじゃないけど…。
「仲直り出来たのは、光太郎のおかげ。ありがとう、感謝してるよ」
「俺は何もしてねぇよ。…あー、恥ずかしい。つーか、お前、急に来んなよ。」
「急にじゃないよ?部屋の外から声はかけたんだけど…。」
次からはもう少し大きな声で呼ぼう。そう思った。
「あー、美味そうな匂いだな!腹減ったーッ!」
光太郎が部屋からでて早々に叫ぶと、リビングからクロの声が飛んできた。
「木兎うっせーッ!」
「お前もな!」
…コントかよ…。とか思いながら、私もリビングへ向かう。