第26章 久しぶりの。
「俺、これ運ぶから、木兎呼んできてくれる?」
「うん、わかった。ありがとう」
盛りつけまで終わると、クロにそう言われ、光太郎をリビングに呼んでくることにした。
「光太郎、ご飯できたよ、おいで」
私が声をかけても、光太郎が部屋から出てくる様子はなし。
…寝てる…?
「光太郎、ご飯だよ」
…返事は帰ってこない。
私は、はぁ…とため息を吐くと、ドアノブに手をかけて、部屋の中に入った。
すると、私の目の前には驚きの光景が。
「光太郎!?…なんかあったの…?」
部屋の中には、光太郎が布団にくるまり、声を押し殺すようにして泣いていた。
「どうしたの?大丈夫?」
光太郎の頭は、お風呂上がりということでぺちゃんこ。そのせいもあってか、いつもより弱く見えた。
「私でよければ話聞く。どうしたの?」
頭を撫でながら、できるだけ優しく光太郎に問うた。
すると、光太郎は布団から出てきたと思えば、私の体を思い切り引っ張り、強く抱き締める。
「ん?どうした?」
顔を覗き込むように光太郎に聞くと、光太郎はやっと口を開いた。