第26章 久しぶりの。
「綾菜、作ろっか」
光太郎がお風呂を洗っているあいだに、2人でご飯を作ることに決めた。
「私、本当に料理出来ないけど。…大丈夫?」
「俺が教えたくて教えんの。余計なこと気にすんな」
クロはそう言うと、私のおでこにデコピンをする。
「痛い」
「はいはい。じゃあ、とりあえず材料だすか」
はいはいって…。
とか、思いながら、クロの隣で冷蔵庫の中を覗いた。
「結構材料揃ってんな。これなら、色々と作れそうだ」
クロはそこまで言うと、ちなみに、と言葉を付け足した。
「綾菜はなに食いたい?あ、なんでもいいはなしな。」
クロには先を読まれていたようだ。
本当になんでもいいんだけどな…。
特に食べたいものもないし、光太郎が食べたそうな肉とでも言っておくか。
「じゃあ、お肉食べたい」
「じゃあってなんだよ(笑)木兎のためかァ?本当に木兎のこと大好きだな。お前は」
クロには考えていることがバレていたようだ。
でも、大好きではないんだよな。別に、普通だし。
なんて考えているうちに、クロは材料を全て取り出していた。
「そんじゃ、作るか」