第25章 恋バナ
「もういいよ、綾菜。」
「あ、うん。ごめん」
せっかく、エマさんとクロの恋バナでいい感じだったのに、私のせいで空気は最悪だ。
「綾菜ちゃんは、それだけアカアシ君のことが好きだったんだね」
「え?」
言っていることが分からず、思わずに1文字だけを発してしまう。
「だって、一番好きな人が一番自分を傷つけられる、って言うじゃない?…好きだから、信用してたからこそ、そんなに苦しかったんじゃない?…綾菜ちゃんの気持ちはよく分からないから、違う可能性もあるけど。」
たしかに私は、京治のことが大好きだったし、エマさんが言っていることは、間違っていないと思う。
「エマさん凄いですね」
「まぁね!…恋の相談は私に言ってね?恋愛のプロなんで!」
キメポーズつきで言ったエマさんに対し、クロは笑いながら言った。
「自称って付けとけよ?自称恋愛のプロ、ってな」
「なにそれ、酷い!それだったら、恋愛のプロ、カッコ仮、の方がいいし!」
突っ込むところそこなんだ…。
と、思ったけど、声には出さず、表情筋だけ働いた。