第25章 恋バナ
京治とのことをエマさんに簡単に話す。
…ここから先は、クロにも教えてないんだけど、まぁ、教えても大丈夫だよね。
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バレンタイン当日、私は渡す人もいないため、普段通りに学校へ向かった。
「おはよう、綾菜」
私に声をかけてくるのは京治だ。
正直、まだ怖いから私から距離を置いているけど、彼とは最悪なことに、同じ委員会なのだ。
そりゃ、話さなきゃいけなくなるわけで。
今日は一週間に一度あるあいさつ運動とかいうやつの日で。
私は京治と少し距離を開けて隣に立つと、挨拶を始める。
「ねぇ綾菜、俺にチョコとかないの?」
「え、ないよ。…ごめん、もう教室戻るね」
京治にそう言って逃げるように教室へ戻ろうとするけど、それは許されず…。
「…やめて。」
思い切り手を握られる。…力で叶うはずはない。もう、言いなりになるしかないのか…。
私が目を瞑ると、京治は私と唇を重ねた。
…早く、この時間終わらないかな。
そう思ったら、京治の顔は私から離れる。
「はい、終わり。…もう満足したよ、俺は。じゃあね」
キスされたのは、正直いい気はしないけど、それ以上されなかったから、まぁ許すとしよう。
…でも、やっぱり気持ち悪いな…。
私は御手洗に駆け込むと、冷たい水で唇を何度も洗った。
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