第25章 恋バナ
「そんで、まだ仲良くしてるわけよ」
「テツロウの好きな人が綾菜ちゃんとか、私に勝ち目なかったよね…(笑)」
…正直、別れ話のあとにあんなことが起きてたなんて知らなかった。
「教えていただきありがとうございます。」
「いーえ。私たちが教えたくて教えたんだし、逆に聞いてくれてありがとう」
そう言ってエマさんは私に微笑みかけてくれた。
「綾菜ちゃんはなんか恋バナないの?」
…恋バナ…私の過去の恋愛、か。
「なくはないですけど」
「そりゃこんな可愛い子は、みんなほっとかないよね…」
「みんなって言われても、恋愛経験は片手あれば数えられるぐらいなんで。……いや、片手もいらないか。」
私がそう言うと、エマさんは驚いたように目を見開いた。
「え!そうだったの!?…ごめん、豊富なほうかと思ってた。失礼な事考えてごめんね」
「別に、気にしなくても大丈夫ですよ」
「綾菜は好きになったらそいつしか見えなくなるタイプだよな。昔の話聞いてると」
…そうなのか。私は好きになると、その相手しか見れなくなるのか。
…でも、あながちそれは間違えではないかもしれない。
私はクロと付き合ってから、他の男のことなんて考えたこともなかったし。
「綾菜ちゃんにテツロウはもったいないね…。って言うか、テツロウ、綾菜ちゃんの昔の話聞いたことあるの?イイなぁー。」
「教えてあげましょうか?」
「え!いいの?嬉しい!」
私はエマさんに、昔の話をすることにした。